日本の農業とアメリカの農業を比較 「Organic farmingと有機栽培について」vol.1

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今回から個人的にアメリカと日本の農業を比較する記事を書いていきます。

かれこれアメリカに来て一年が経とうとしている中で、気付いたポイントがありますので、それを記録します。

しかしあくまで僕個人の見解と僕なりの調査に基づいて投稿するため、すべて正しいわけではないことを前提にお読み頂きたいです。

それでは第一回「Organic Farmingと有機栽培について」です!
 

Organic Farmingってなに?

あきら

日本の有機栽培(オーガニック)とアメリカのOrganicについて考察していきましょう!

みなさんも耳にはしたことがあると思いますが、有機栽培(オーガニック)というものがあります。

それと対照的に捉えられているものが慣行栽培です。もちろん細かく分けるともっと様々です。

僕の個人的な意見としてはこれはあくまで農家さんの強みや信念によって選択されるのが栽培方法であって、どちらも正しい農業の選択だと考えています。

それではなぜオーガニックに焦点を当てたのか、それは僕が日本で有機栽培をしている農業法人にて働いた経験があることと、今現在アメリカのオーガニック農場で働いていることから、よりリアルな比較ができると考えたためです。

まずはアメリカのOrganic Farmingについて触れていきましょう。

アメリカのEnvironmental Protection Agency(EPA)のサイトから引用するとOrganic farmingとは

“Organically grown” food is food grown and processed using no synthetic fertilizers or pesticides. Pesticides derived from natural sources (such as biological pesticides) may be used in producing organically grown food.
Quoted from: United States Environmental Protection Agency “Organic Farming”

化学合成の肥料や農薬を使わずに(自然由来の農薬を除く)育てられ、また加工された食べ物のことみたいです。

一方で日本の有機農業は、以下のように記されています。

「有機農業の推進に関する法律」による有機農業の定義は以下のとおりです。

1. 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない

2. 遺伝子組換え技術を利用しない

3. 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する

農業生産の方法を用いて行われる農業です。

出典:農林水産省「【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~」

基本的な概念はアメリカのOrganicと日本の有機栽培とではそれほど変わらない気がしますね。

現在多くのオーガニック農薬があり、僕は日本でもアメリカでも同様にオーガニック農薬の散布を経験しています。

ちなみに有機栽培は”無農薬”とは限りません。

概念を比較したところで、認証プロセスや機関についても見ていきましょう。

アメリカのOrganic認証はどう?

USDA (The U.S. Department of Agriculture)という米国農業省と訳される組織があり、そこから代理で認証することが認められた有機認証機関によって農家さんがOrganicかどうか審査されます。

今回の記事では深堀りはしませんが、プロセスも知りたいという方がいらっしゃればこちらのUSDAのサイトにて紹介されています。

代理機関の例としては、カリフォルニアではCCOF(The California Certified Organic Farmers)という機関があります。

今僕のいる農場ではここの認証を受けているのですが、これ以外にもたくさんあります。

調査する中で、2017年には国内にある認証機関が48、国外からの認証機関が32、アメリカと国外で提携している認証機関が21機関あることが分かりました。

アメリカでは合計101の機関がOrganic2017年時点では認証していたようです。

続いて、認証してもらえた後にできるようになるラベリングに関してです。

アメリカでのオーガニック製品に関するラベリングは4つに分類されています。

  • 100 percent organic
  • Organic
  • Made with Organic
  • Specific organic ingredients listings

この分類に応じて、商品のメインラベルとインフォメーションパネルとにどのように記載できるのかが変わってきます。

僕がいる農場では野菜を主に出荷しているのですがその際はラベリングというよりも、1束1束を束ねている針金入りのひもにオーガニックと記載してあります。

また出荷の際の段ボールにもオーガニックと書いてあります。

ただ、僕がいつも買い物をするときに見てる中では上の4つの分類がされているのは正直全然分かりません。

オーガニックシールや、そのひもがあるので、そこに表記されているものがとにかくオーガニックなんだなという認識程度でした。

ただシールで言うと、個人的には日本の有機JASマークよりも目に入りやすい気がします。

日本の有機認証って?

それでは次に日本の有機認証制度について見ていきます。

皆さんも聞いたことがあると思います、先程述べた「有機JASマーク」と呼ばれるものです。

日本もアメリカ同様に認証機関が様々あり、国内外に認証機関をもっているようです。

しかしJASマークは様々な形式のマークがあり、その中のひとつに有機JASマークがあるのでそもそもどのマークがなんなのかを把握していないとかなり分かりにくいと個人的に思います。

また、僕が日本で働いていた農場では出荷先が有機栽培の商品などを独自に分類している協同組合の一つでしたので、有機JASを取得すると商品の説明に追加されますが、そもそも消費者から「自然由来のものを使った栽培方法」というように知られていたので特に有機JASマークがなくとも組合のマーケティングや、システムによって類似した販売がされています。

あきら

消費者からするとアメリカよりも
日本の方がラベリングが曖昧かも…。

ですが、審査はすごく厳格だと思います。

僕のいた農場では、ちょうど僕がいた時に有機JASマークを取得する手続きをしている最中だったのですが、その際肥料の申請を行っている中で「問題なくパスできると思っていた肥料」の承認が下りないということがあったんです。

それはなぜかというと、肥料を精製する際に生じる化学物質があり、それが少量混じっていたということで承認されないということがありました。

これには僕の上司も驚いていたのを今も覚えていて、その後使用する肥料を変更する等の手段を取っていました。

さすがにアメリカにてそこまでの詳細な内容を知ることはできていませんので認証機関の審査基準については比較することができませんでした。

しかし、申請が承認されるまでには厳格な試験があるということを知ってもらえればと思いご紹介しました。

考察

上の調べた内容と、経験からアメリカのOrganic Farmingと日本の有機栽培について僕なりに考えてみました。

概念自体はどちらも同じで、ラベリングも認証審査を通して成されているという過程を考慮するとそれほど大きな違いがないように感じています。

しかし、僕自身なにか感覚的に違いがあるように感じてなりません。

そこでやはり僕の中でキーになることは「ラベリングの明確さ」です。

日本はそれほど意識していなかったらどれが有機JASなのかもわからないですが、アメリカではOrganicというシールがとても分かりやすく貼られシンプルに消費者に伝わってきます。

それに対して日本では、どこの会社の製品、どこの組織から販売されている商品かということに消費者の注意が集中しているのではないでしょうか?

そして僕は、アメリカと日本のマーケットの違いがここで関係しているのでは、という考えに至りました。

日本ではJAなどの協同組合や農業者の団体が昔からあります。なので消費者にとっては、組織について知ることが生産者の栽培方法をざっくりと知ることにつながり、マーク以上の効果があるように感じます。

それに対してアメリカでは昔から組合というよりも自分で生産したものを自分で販売するという文化が強いため、生産方法なども個人によって異なる中、販売する際に「保証」のような意味合いで商品のラベリングに強調してあるように感じます。

あきら

アメリカでは本当にたくさんのファーマーズマーケットがあり、農家さん個人が店頭に立って販売しています。
2019年のリサーチでは8000を超えるファーマーズマーケットがアメリカで開催されているというデータがあります。

もちろん今はどんどん生産者自身で販売する人が増えてきて道の駅とかオンライン販売などを駆使して栽培方法を主張する農家は多いようにも感じます。

僕が知っている限りでも有機専門のスーパーなども少しずつ日本で作られているのでこれからより生産者にフォーカスしたマーケットになっていくのかなぁ。

まとめ

今回の記事ではアメリカのOrganic farmingと日本の有機栽培について僕なりの観点から比較しました。

結果として、公式に発表されている概念は違いは特になく、認証機関を通して認証されるプロセス自体も同様でした。

しかし、ラベリングに関してはアメリカの方がオーガニック製品に関して詳細な分類がされていることが見えてきました。

もちろん僕が調べ切れていない可能性もありますので、何か情報を知っている方がいらっしゃれば教えて頂けるとより正確に比べることができるのでいつでもコメントお待ちしています!

あきら

こんな調査もしてみるとより詳細がわかるかも、とかのアドバイスも嬉しいです。

それでは今回もAgri Stepを最後までお読み頂きありがとうございました!

また次回もお楽しみに!

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