こんにちは!
いつもAgri Step(アグリステップ)をお読みいただきありがとうございます。
もうすぐで農場研修が終了するのでバタついており、なかなか更新する時間が作れず長らくお待たせしてしまいました!
農場研修の後はUCデービスにて2か月間授業を受けることになっています。
今後の日程や、カリキュラムなど次の研修を考えている方に役立つような情報もポストしていきますのでお楽しみに。
さて、今回はアメリカのDos Palosという町にある”Koda Farms”さんに関する記事です。
先日有難いことに、Koda Farmsさんの農場を見学する機会がありました。
1920年代、初代創始者である国府田敬三郎さんがアメリカへ移住し、今もなお3代目によって引き継がれる歴史のある農場。
日本の稲作とは別の角度から成長してきた日本人の米作りに焦点を当ててお伝えしていきます。
Koda Farmsの歴史
遡ること1920年代。創業者である国府田敬三郎さんが家族と共にカリフォルニア州ロス・バノスのサン・ホアキン・バレーにある土地を購入し、そこへ移住しました。
稲作をするためにサクラメントの北部から土地を探していましたが、なかなか土地が見つからずに南下していった結果その土地に辿り着いたそう。
サクラメント付近では昔から稲作がとても盛んに行われている一方、現在でもKoda Farms周辺ではあまり稲作を行っている農家はいないのだとか。
その後、飛行機を活用した種まきの技術や、品種開発などアメリカの稲作技術の発達に貢献していきます。
しかしその過程は華やかなことばかりではありませんでした。
戦時中には日本人差別の考えから、アメリカ政府による取り締まりが入り、その頃に所有していた施設のおよそ99%が売却されてしまったそうです。
もともと栽培から貯蔵、パッキングまでの一貫した品質管理によってブランドを築いていたため、土地だけでなく、乾燥機や、飛行機、貯蔵庫とあらゆる資産がなくなってしまいました。
戦後、日本人キャンプから帰宅した後、再度スタートし、今も栽培している品種「国宝ローズ」の開発や、カリフォルニア州で初めてとなる商業的な「もち米」の栽培、それを加工した米粉の商品化などに取り組みます。
このように多くの功績を残している敬三郎さんは日系アメリカ人の中で”Rice King”として知られているそうです。
稲作だけでなく、様々な功績を残していらっしゃるのですが、僕の記事では農業に絞ってお伝えしています。
詳細の歴史はKoda Farms のサイトにて読むことができるので、下にリンクを貼っておきますね。
そして現在、二代目、三代目に引き継がれ、およそ100年続く、歴史ある農園としてお米作りをされています。
Koda Farms見学
9月中旬に見学へ行ったのですが、その頃はちょうどもち米の収穫をしていました。
稲の先の方だけ刈り取っているようで、日本の収穫後の風景よりも稲の茎部分が畑に残っているような具合でした。
稲わらを活用するのか聞いたところ、それほど活用できる用途がないことが課題だとのことです。
やはりアメリカということで機械もかなり大きいです。
収穫の時期に使用するコンバイン(収穫機)やバンクアウトワゴンと呼ばれる畑から農道まで収穫物を運ぶ機械などが動き回っていました。
このコンバインがどのくらい大きいのかというと、、、
この写真の真ん中に大人の男性が立っているのですが、タイヤ程の高さなのがお分かりいただけると思います。
Agri Stepのインスタでは動画やその他画像をアップしていますのでぜひそちらもチェックしてみてください!
Koda Farmsで栽培されているお米は、上の「Koda Farmsの歴史」にて触れていますが、国宝ローズともち米とあります。
さらに分けると、オーガニック(有機的な肥料や農薬を使用)と慣行栽培(化学的な肥料や農薬の使用が可能)と分けて作られています。
もちろん、栽培の方法の違いがあるため、道具/機械/貯蔵/パッキングなどの作業は完全に分けられていました。
育てている品種の特性として、背が低い分熟すのが早いらしく、オーガニックの畑では雑草と混ざっていても分かりやすかったです。
ここで雑草と共に稲が収穫されるのですが、その後の選別プロセスできれいにお米だけ取り出されていました。
Koda Farmsでは、栽培からパッキングまで独自の工場ですべて行っており、工場内も清潔に保たれていました。
品質管理のこだわりを感じます。
様々な大きさの袋で販売されており、パッケージデザインも独自のものです。
今後の畑作業としては、トラクターで耕しやすいように、刈り取り後の稲を倒し、来年の植付に備えるそう。
植付を行う畑では既に準備も始まっている箇所もありました!
上の写真でお気づきかもしれませんが、とてもフラットな畑になっています。
これはトラクターのGPS機能を使用しているらしく、水を溜めるための区切りの部分もとてもきれいな線になっています。
昔はもちろんGPSがないので区切りの部分がいつもぐねぐねになっていたそうです。
そして4月頃に種まきが始まります。
水はどこから?
大量の水が必要になる稲作。
Koda Farmsで利用している水はシャスタマウンテンから来ていると伺いました。
しかし、シャスタマウンテンはカリフォルニア北部に位置しています。
それでも水を届けられる理由は、水路にあります。
Koda Farmsへ向かう途中に日本で言うところの川のような水路をたくさん見ることができました。
この大きな水路からさらに枝分かれして小さな水路も多数散らばっています。
農場付近ではアーモンドやピスタチオといった果樹が植わっており、潅水チューブ(水やりのチューブ)が全て張り巡らされていたのでこの水がこの地域の農業を支えていることが分かりました。
カリフォルニアの農業水に関して詳しくまとめた記事もありますのでぜひ読んでいない方は読んでみてください。
日本とアメリカの稲作の違い ~Koda Farmsで見えた違い
Koda Farmsで驚いた内容をお伝えする上で「なぜ驚いたのか」という部分を明確にしたいので、日本とアメリカの稲作の違いについても簡単にまとめながら進めていきます。
まずは日本の稲作の一年間の流れについて動画でまとめているものを見つけましたので観てもらえると日本の稲作が想像しやすいかもしれません。
特にアメリカと違いが明らかなものは播種(種まき)と、収穫ですのでそのあたりをかいつまんでみてもらえると良いです。
種まきを比較(播種)
日本の場合は基本的に種をそのまま植えるのではなく、苗にして機械を使ってきれいに植えて(条植え)いきます。
また植える前には、畑に水を張った状態でトラクターで均す作業を行います。
ちなみに、その作業は代掻き(しろかき)と呼ばれてます。
それに対して、Koda Farms(アメリカ)ではGPSで均す作業を行っているので、その後水を溜めて飛行機で種まきをしていきます。
日本ではまず見ることがない光景です。
収穫を比較
日本の米収穫の際は、上の動画①のように収穫したお米を袋に詰めて畑の外へ運ぶ方法と、動画②のような収穫したものを軽トラなどに積み直して搬送する方法があります。
個人的な主観としては、動画②のように軽トラで搬送するタイプの収穫をしている農家さんの方が多いです。
広くお米を栽培している方はこのやり方なのかな。
日本では植付をまっすぐ行っているので(条植え)、日本のようなコンバインの形で対応できるんですね。
それに対して、飛行機で播種をするときれいなラインでお米は出てきません。
なのでコンバインの見た目もずいぶん違います。
また、アメリカの農場では軽トラではなく、搬送するための機械を複数使用しています。
上の写真がコンバイン、下の写真がコンバインからバンクアウトワゴンにお米を積み直すところです。
まとめ
今回の記事ではKoda Farmsさんへの見学を通して学んだKoda Farmsの歴史、カリフォルニアでの米作りについてお伝えしました。
種まきに飛行機を使うことや、その方法はKoda Farmsが先駆者であることや100年近く日系の農家さんがアメリカにてお米作りをされていることを知りました。
話を聞くほど、感動や喜びといった感情が溢れてきました。
そして学ぶ中で見えた日本とアメリカの稲作の違い。
同じ日本人であっても土地が違えば、やり方も変わることが明確に見えました。
これも農業の楽しさだとぼくは思います。
お米は日本人にはとても馴染深いものであるからこそ、読者の皆さんにも楽しんでお読み頂けたのではないでしょうか。
今回も最後までAgri Step(アグリステップ)をお読み頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!
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