アメリカと日本を比較 vol.2-カリフォルニアの水はどこから来るの?-

いつもAgri Step(アグリステップ)をお読み頂きありがとうございます。

農業をする上で一番と言えるほど大事な水源の確保。

まさに一番に記事にしておくべきような内容でしたが、少し遅れてしまいました。

今回の記事ではアメリカの南カリフォルニアの水にフォーカスして比較していきます。

理由としては僕が住んでいる地域だからです!

あらかじめお伝えすると、アメリカは国土が広い分、気候や自然環境も地域によってかなり違います。

乾燥している地帯、雨の多い地帯、ハリケーンが襲来する地帯などなどそれぞれの州や地域によって気候に特色があります。

日本はだいたい雨や台風が南から来て北に向けて移動するようなことが多いですが、南カリフォルニアでは全然雨が降らないのに緯度が上のワシントンやオレゴンでは雨がしっかり降るといった具合です。

それでは前置きはこのあたりにして、内容に移っていきましょう。

アメリカ(南カリフォルニア)と日本の水問題について

南カリフォルニアの水事情

先に話していたように南カリフォルニアではほとんど雨が降らず乾燥しています。

足を一歩一歩踏み出す度に土埃が立つほどです。

それでも僕が毎日蛇口をひねると水が出ます。

なぜこんなに乾燥しているのに水があるのでしょうか?

その理由はカリフォルニアの豊富な水資源にあります。

矛盾しているように聞こえますが、それだけカリフォルニアが広いんですね。

ご存知の方も多いと思いますがカリフォルニアはアメリカでも最大規模の農業生産州です。

農業には先に伝えていたように水が要となります。ということは、大量の水がカリフォルニアで消費されているということが分かりますね。

豆知識 -The Dust Bowl-
1930年代にDust Bowlという大規模な干ばつがOklahoma, Texas, Arkansas, Missouriなどの地域で発生しました。自然現象ではなく、人の手によって発生した現象としてアメリカの歴史に残っています。その際には干ばつ地帯からの移民が大量にLos Angelesのような町や、農業をするためにSan Juaquin Valleyといった地域に来たそうです。なので、カリフォルニアでは水があったということが分かりますね。
インスタグラムで少しご紹介させてもらっています。
また歴史が書いてあるサイトがありますのでURLを掲載しておきます。
とても興味深いので、もしご興味があれば読んでみてください。

それではどこから水が来ているのでしょうか?

カリフォルニアの水はどこから来てる?

カリフォルニアで使用されているの水は多くがSierra Nevada (シエラネバダ山脈)からそして特に農業や産業にて使われているものが地下水です。(もちろん地下水を生活用水として使用している地域もあります。)

僕の今住んでいる場所では、シティウォーター、地下水ともにつながっています。

なので実際に地下水を利用して生活している例ということですね。

まず初めにSierra Nevadaについて学んでいきましょう。

Sierra Nevada

Sierra Nevadaという名前はスペイン語から来ていて、Sierraという意味は鋸とかギザギザしたという意味で、Nevadaとは雪が乗っかってるとか、凍っているとかいう意味のようです。

言葉からイメージできるように山脈の頂上には雪が溜まっていて、雪解け水が川へ流れているようです。

山脈の西側と東側で大きく気候が異なっていて、西側では雨が豊富に降る一方、東側ではアメリカの中でも大きな乾燥地帯が広がっていて、東から西にかけて広大なため池が数多くあることが有名です。

理由としては、太平洋から吹いてきた風が山にぶつかることで結露して西で大量に雨を降らすためですが、ここまではっきりした違いがあるのはそれだけ大きな山脈だから?なのでしょうか。

Sierra Nevadaから流れる川によっては、カリフォルニアの北部から南部にかけておよそ800キロを下るものもあるそう。

そのような川に人工河川を繋げて、生活水や農業用水として使用しています。

このようにSierra Nevadaを基盤とした豊富な水資源があったため、1930年代に起きた干ばつの際には東からの移民が増えたのでしょう。

ちなみに南部に多くの水を運んでいる河川はコロラド川で、調べるとダムがいくつもありました。

しかし、近年ではそのダムの貯水量も雨不足により毎年マイナス傾向にあるそうです。

地下水の利用

それでは地下水について見ていきましょう。

Public Policy Institute of California のリサーチによると、毎年平均してカリフォルニアで使用される水の40%が地下水らしく、特に雨不足の年には多くの地下水が利用されるそう。85%のカリフォルニアに住んでいる人たちが地下水を何かしらの方法で利用していて、農業での利用が顕著みたいです。

Refers to Public Policy Institute of California “Groundwater in California”

上に貼ったリンク先に、どれだけの地下水がこれまでに減っているのかをグラフで視覚的に紹介している部分がありますので見てもらえると使用超過が分かります。

そして一番減少しているTulare Basinという地下水限で、僕の住んでいる地域に一番近い水源です。

干ばつ問題について

学者たちの議論では、今後予測している干ばつは数年単位ではなく、長期間に渡って影響する可能性を秘めているとして注意を促しているようです。

去年(2021年)の年末にyoutubeへアップされたこの動画にて現在の水不足がどのように生活に影響をきたしてゆくのかを研究者たちが意見しています。

動画は40分以上と長いのでもしご興味があれば観てみると現状の水問題に詳しくなれそうです。

この動画を観ると、地下水が減少していることだけでなく、Sierra Nevadaの降雪量も減少していることが分かります。

気温がどんどん暑くなる中で、今まで雪として山に積もっていたものが雨となり、降水量が増えるだけでなく、その雨が氷山の雪を解かすことにつながり、雪解け水が下まで流れ落ちてくる状況になってきているようです。

そのため、今求められていることは、雨季には洪水などが起きないよう、そして乾季(夏)には大量の水の消費によって水が枯渇しないような高度な水のマネジメントを行うことです。

今回の記事では水の問題なので気候や地形の話、農業だけでなく生活に直結するような大きな話が主になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。

僕の今住んでいる地域がまさに今回の記事にした水資源に頼っているため、農業分野における水の活用方法を比較する前の予備知識としてご紹介しました。

次の記事ではより僕が見ている農業と日本で見てきた農業の水にまつわる話に焦点を当てていこうと思います。

お楽しみに!

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回も勉強になる面白い記事をありがとうございます!

    ニュースやテレビ番組でよく聞く様々な地域が出てきて、まずはアメリカの地理から勉強したいと思えました。

    動画のリンクが日本では見れないのか、私の携帯では見れないのか、、
    面白そうだったので、残念です、、

    • 大谷さん
      コメント頂きありがとうございます!!
      アメリカの地理が当たり前ですが日本と違いすぎて調べてみると面白いですよ!
      そして僕もニュースとかテレビの中の世界に来ているような感覚をこの一年感じています。
      動画のリンク観れないのですね、きっとアメリカにいる人にしか観られないのかもしれません、、、。
      内容としてはHistoryチャンネルの”Mega Disasters”という企画で、丁度ここ周辺の干ばつ問題を歴史的な視点から見ている内容です。
      アメリカではこのチャンネルがフルエピソードで見放題なのですが、日本では観れないのはぼくも残念で、申し訳ないです。

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